愛車CB750Fボルドール2の再起記録  vol 55
【シム調整とキャブ同調】(2006/04/01)

昨年の5月連休にエンジンの腰上整備をして10ヶ月が過ぎた。
不具合も無く快調に走っているのだが、エンジン音は徐々に変化してきたので内部を一度確認する事にする。
昨年の腰上の整備では、バルブ擦り合せやテンショナー交換、ピストンリングも交換しているので、
一部だけ新品部品が組まれている為、古い部品と折り合いあを付ける為エンジンも苦労しているようである。

【エンジン音はどのように変わったか?】

エンジンを組付けた当初、エンジン音には「コンコン」というピストン打音的な音が混ざっていた。
走行1000キロ程度から「コンコン」という音は静かになり、「キチキチ・・」という音に変わってきた。
そして現在のエンジン音は「シュルシュル・・」という音になったのだが、カムチェーンとバルブ音が目立ってきた。
といっても..異常な音ではなく、「シャラシャラ・シュコシュコ」という少し甲高い感じの作動音である。
普通に乗ってしまえば、全く気が付かない程度の音であるが、自分で整備して変化を見守ってきたので良く分かる。
エンジン自体はMAX回転までストレス無く一気に「シュオーン!」と気持ちよく回っていく。
怖いのは、自家整備ゆえに「緩み」があった場合で、今回の整備でヘッド周りの緩みと状態を確認する。

まぁ..ここらへんが素人整備の面倒な点であるが、プロの整備でも、よほどにRC01Eエンジンに熟知しており、
相当な部品の交換と正確な整備が行われなければ似たようなもので、むしろ怖い。
エンジン自体は私がマニュアルに沿って、記録しながら組み込んでいるので間違えは無い。
自家整備は、こういう良い面もあれば悪い面も持っているということである。

【シムの変化】

バルブの組み換えを行って以降、シムの変化は以下のように推移してきた。

バルブ組立て時(2005/05/07)

気等番号 1・1 1・2 2・1 2・2 3・1 3・2 4・1 4・2
排気側 0.10 0.11 0.13 0.09 0.12 0.10 0.10 0.10
吸気側 0.08 0.10 0.10 0.10 0.08 0.11 0.11 0.08

1000キロシム調整(2005/07/18)

気等番号 1・1 1・2 2・1 2・2 3・1 3・2 4・1 4・2
排気側 0.10 0.12 0.15(0.08) 0.10 0.13 0.12 0.12 0.11
吸気側 0.09 0.11 0.11 0.11 0.14(0.10) 0.12 0.12 0.09

今回の計測(2006/04/01)

気等番号 1・1 1・2 2・1 2・2 3・1 3・2 4・1 4・2
排気側 0.10 0.12(0.07) 0.10 0.09 0.13(0.07) 0.11 0.11 0.08
吸気側 0.07 0.11 0.10 0.10 0.09 0.11 0.11 0.07
ヘッドカバー取り外し。

バルブ隙間計測

シムを選定する。

調整後隙間を確認する。

バルブ隙間(シム)を計測すると、誤差はあるが大きな変化は無く、少し開きが大きい部分を調整して完了した。
データーから見る分には、バルブ隙間の変化は誤差と微小な範囲に留まっているので良好と言えると思う。(^^

各部の締め付け状態も緩みは全く無く、キッチリと組立てられている。
カムチェーンテンショナーも上手く馴染んで来ているようで、適度な張りを保っていた。
カムチェーン自体は少し伸びているな〜..と感じていて、ここらへんがエンジン音に出ているのだと思う。
とは言うものの..まだまだ使える状態だし、プライマリーチェーンの交換など、腰下分解になるのでやるつもりは無い。
このチェーンは相当な耐久性があるので、私が乗れる限りは問題は起きないと思われる。
尤も..私自身はエンジンを回さないので、負担も少ないのであるが。

【キャブレター同調】

本当ならば..キャブ同調は、腰上の整備をしてバルブの状態が変わったときにやっておくべきだったのだが..
「エンジンが落着くまで・・」という理由で延ばしていたのである。(^^;;
んで..今回のシム調整で、大きな変化が無かったので、同調を取り直す事にしたのである。

使う道具は、同調ゲージとガソリンを送るサブタンクと、同調レンチだけである。
以前にも書いたのであるが..私の同調ゲージは四連水銀柱ゲージというもので、とても優れた物である。
量販されているダイアルゲージ式の物とは違い、エンジンの脈動を正確に測ることが出来る。
メータ誤差は全く無く、セットする前に水銀内のエアを抜き、大気圧で四本の水銀柱のレベルをそろえる。
四本の水銀柱は底部で連結されているので、各々の水銀柱が連動して動く為に、他の気筒の影響を受ける。
影響を受ける事によって、実際の気筒差よりも大きく表示されるので、寄せればより精度が上がる仕組みである。
またメーター式のようにビュンビュン振れてしまわないので、より正確に寄せていくことが可能なのである。
メーター式では各気筒差を10mm/hg以下に寄せる事は非常に難しく、メーター誤差もあるので信頼性に欠けるが、
水銀柱ゲージの場合は、やろうと思えば今回のように5mm/hg以下にそろえる事が可能である。
しかし..このゲージは輸入品で5万円ほどする高価なゲージであり、水銀を使っているので今では手に入らない。
このゲージを使うときは天候には左右されないのだが、気圧が高いときのほうが反応が良く正確に調整できる。

というわけで..この自慢のゲージをセットして計測してみると..案の定狂いが生じていた。(-_-;
1番と2番の格差が30mm/hg近くあり、腰上の整備によって2番気筒に変化が生じたのが分かる。
ではどんな原因なのか?..というと、よくわからない。
分解時にステムシートがいかれていたのは3番と4番の気筒で2番は問題がなかった。
むしろ1番気筒にガムの付着が多かったので、1番に変化が生じた事で2番に影響が出たのかもしれない。
確かに前回(2003/06/30)の同調時でも2番は最も高い値で同調されているので、変化したのは1番と見るのが
妥当なのかもしれない..とまぁ、こんな具合にこのゲージは同調の狂いが広がれば広がるほど大きく表示される。

さて..同調は、純正工具の同調レンチという、あまり芸の無い名称のレンチを使う。
このレンチが無ければ、同調した位置で正確に固定する事は出来ない。
プロのバイク屋で、このレンチを使わず代用してる店などは、全く要注意で素人整備以下である。
というのは..このレンチで締めても、締め具合によっては5mm/hgはズレが生じるのである。
適当なスパナとドライバーでは簡単に20mm/hgは締め込み時にズレてしまうことだろう。
それをプロの技?とかって事は無く、プロは経験と道具の勝負である。
てなわけで..今回は頑張って全気筒差を5mm/hgまで寄せてみた。
締め込み後に、ネジの頭にはペンキを塗って固定するのを忘れてはいけない。(^^

ゲージをセットする。 現状を計測すると・・気筒差30mm/hgもある。

同調レンチで調整します。

調整完了!気筒差5mm/hg程度(おお〜っ!)

プラグの状態をチェック..う〜ん、良い感じです。

完成!(^_^)

【整備後の走行】

バルブ隙間とキャブが同調されると、給排気系四気筒全て完全にバランスが取れた状態になります。
スロットルを空けると「ス〜ッ..」と押されるように前に出て閉じると滑らかに減速します。(^^
調子が良くなって、始めて調整前が「甘かった」って事に気が付きます。
といっても..調子よくなって10キロも走ると体が慣れてしまい、前の状態を忘れてしまうから不思議です。
エンジンの音はほとんど変化無く、少しバルブ音がおとなしくなっただけですが、キャブの方は良い感じです。
実際、マニュアルでは気筒差60mm/hgまで許していますが、気持ちよく走るには20〜30mm/hgが限界ですね。
バランスが崩れてくると、エンジンの微振動とかも出てくるし、回転の上下にはもちろん影響が出ますからね。
そんなわけで..キャブの調子が悪かったら、キャブの分解も考えていたのですが、まだ大丈夫なようです。

【今回の失敗(T_T)】

ヘッポコ素人整備なので、毎回一度は失敗せずに終わらない。
今回は、ヘッドカバーを組んでエンジンを掛けたら、オイルがダラダラ流れ出てしまいました。
場所は..スピードメーターケーブルのパッキンでした。(-_-;
仕方なく、もう一度ヘッドカバーを開けてパッキンを入れなおしたのですが、流れ出たオイルがフィンの隙間に
残ってしまい、結構長く滲んできていましたので、パーツクリーナを吹き込んだのですが..ダメ。
フィンの中に入った微小なオイルは燃えるかして完全に無くなるまでは流れてきそうです。
私はオイル漏れを絶対に許さないので、気になって仕方ありませんでした。
気にならないまでに拭き取ったのは夕方近くになったころでした。(なんか腹立つ)

【今回の余禄(^-^)】

実は..スピードメーター取り出しの部分(カムシャフトホルダー)のケーブル取り出し部のネジが舐めてました。(T_T)
正しくは「舐めいると思っていた」のですが、ケーブルを外してねじ込んでみると、きれいに締まります。
「なんだろう?」と思ってみると..ケーブル側が少し精度不足なようで硬めになってました。
そこで、ケーブルを深く差し込んでネジを締めると問題なく締まる事が分かりました。(^^
すごくマイナーな事ですが、このネジを舐めるとホルダーごと交換なので、頭痛の種になっていました。
というわけで..ホルダー側には問題が無い事が分かったので、すっかり気が晴れました。

2006/04/02

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