愛車CB750Fボルドール2の再起記録  vol 152

【スタータークラッチ】

　ＣＢ７５０Ｆ系の弱点といえば「充電系統」というのはとても有名で、その次が「スタータークラッチ」だろう。
真冬の冷間時に弱いバッテリーで細々と始動しようとすると、ワンウェイギアが空回りしてしまう現象が起こる。
実は私のも今年の２月に空回りが起きた事がある。

　そのときは７年間も使ったＡＣデルコのバッテリーで、充電状態も弱く外気温度も低かった。
スターターボタンを押すと・・キュ、キュン、キューン・・カラカラカラ・・と音がして始動しなかった。
もう一度試すと、キュッ・・・キュッ・・カラカラ・・、更に試すと、キュッ、キュッ、キュッ・・　バッテリーダウン。（笑）
これが最初なんだか分からずに、セルモーターの不良かと思って調べてみると、有名なワンウェイの空回りであった。
なにしろ始めて遭遇した症状なので、少々面食らってしまったが、セルモーターを買わずに済んだ。
しかし、更に調べていくと、どうやら、このワンウェイが滑るのはＣＢ-Ｆの持病のようで有効な対策がないようだ。
とりあえず・・ドラスタにワンウェイ側の下図（5・6・20）のパーツを注文してみると、なんと出てきた。
これで「何とかなる」と一安心して、次週にバッテリーを充電してから再度トライしてから、交換の結論を出す事にした。

　それで翌週・・満充電された７年落ちのＡＣデルコを再度接続して、気合を入れてスターターボタンを押すと・・
キュン、キュン、キュン・・ボボッ、バウ〜ッと普通に始動してしまった。
すぐにエンジンを止めて再度、キュン、キュン、バウ〜ッ・・、もう一度、キュン、バウ〜ッ・・（安定）
どうやら、バッテリーが満充電されている状態で外気温度が少し高いと（といっても数度）再現しないようである。
バッテリーを古いＡＣデルコから新品の台湾ユアサに交換してからは、更に始動性が安定した感じで、
以来・・スタータークラッチの空回りは一度も起きた事が無く始動に失敗する事も無い。

　それでも、頭の片隅に「ＣＢ-Ｆのスタータークラッチは滑る」「滑り出したら壊れる」「なんとか対策を立てろ」と
呪の言葉が呪文のように残っていて、時折思い出しては、なんとなく不安になるのである。
そこで・・ヤフオクでノーマルの中古ワンウェイクラッチを落札して構造を勉強してみる事にした。
丁度運良く出品されていたのを落札して、あれこれと観察して動作原理が分かったのだが・・

　要は・・ローラー（20）だけが磨耗するわけではなく、スタータークラッチギア（3）の接触部も同時に磨耗してしまう事が
空回りする原因で、ローラーだけを新品にすれば良いというものではなく、スタータークラッチギアとセット交換を
しなければ根本的な解決にはならないと思われた・・が、このスタータークラッチギアは底払い部品である。
更に、このＣＢ-Ｆのエンジンには、このノーマルのワンウェイクラッチでは貧弱という意見もあるようだ。

　その後・・スターターは全く快調に動作していた為、しばらく忘れていたのだが、何気なくＷＥＢを眺めていると・・
ＣＢ-Ｆ系のパーツショップ「ジェイズ」の強化ワンウェイクラッチを取り付けて良い結果が出ている記事を見つけた。
ジェイズのパーツは正直・・良い値段がする。（税込みで３９０００円もする・・確かに物は相当良いのは分かる）
しばらく、どうしようかと考えていたのだが・・購入を決めた。
運良く、近いうちに入荷するとの事で予約して代金を支払って待つ事一ヶ月・・手元に送られてきました。
リダクションも同時購入したので、支払った金額は４５０００円弱になりますが、これがあれば本当に安心です。
この安心というのは、金で買えない部分がある、一種の保険のようなものです。(笑)

　さて到着したスタータークラッチのセットですが・・さすがの出来栄えとしか言いようがありません。
ノーマルよりも確実に剛性がある分厚いギアと、見るからに精度が高そうなワンウェイギア部分。
手で回して逆転させると、ギアをガツッ！と咥える手応えは「これはいいね。」と体感的に感じます。

　というわけで・・４５０００円も投じて手に入れたジェイズ製のスペシャルパーツは十分に納得できた。
しかし、現在スタータークラッチは快調に動作しており、滑るような兆候は微塵も感じられない。
おそらく外気温度が高いので金属が膨張している関係で、暖かい季節は滑りにくいのだと思う。
整備オタクなら「スターターが空回りする前に交換」しておくのだろうが、私の場合は「調子が良いときは触らない」と
考えているので、まだ交換せずに手元で眺めて満足している。
冬になって、もし空回りが始まったら交換するつもりだが・・意外と起きなかったりもするのだ。
まぁ、それでも気分的に安心を買っている効果の方が高い気もする。