しばらく充電したら、セルは息を吹き返し一度エンジンが掛かってしまえば快調そのもの。
「何とかなるかも・・」と思い、無駄なライト点灯などは一切避けて20キロの道程で湘南車検場に到着した。
予備車検をする前に書類を準備しようと思い、車検場で書類と印紙などを買って書類を作り始めたが、
バッテリーへの不安などもありバックからコンパクトカメラを落として電池の蓋が壊れてしまった。
なにか嫌な感じがするというか、悪い事が次々と重なってきている気がする。
尤もカメラは安物の中古コンパクトなのであまり気にもしなかったのだが・・。
書類を作成していると、提出前に自賠責保険に加入しなくてはならないので、書類作成を中断して予備車検場に
向かうためにバイクの所に戻るりエンジンを始動・・キュン、キュン・・ボッ! なんとかエンジンは始動した。
しかし、車検場前の予備車検場に行くまでに一度エンジンが停止、キュン・・キュン・・ボッ。
またもや何とか始動したけど、このときハッキリ分かった・・「この状態では車検を通過させることは出来ない」
そう結論したら、こんな所に居ても仕方ないのでエンジンが回っている間に帰宅することにした。
帰宅しながら頭の中では方策を思案していたのだが、どう考えても短時間で満充電にする事は不可能である。
後間の中では自問自答による状況分析が行なわれている。
「バッテリーは中華製ながら新品なので劣化はほとんど無いはず・・とすればセルモーターか?」
「もしかしたらジェネレーターからの充電が出来ないのか?」
「いや電圧計は14Vを超えているから発電には問題は無い・・とすればセルモーターか?」
「セルモーターなら問題が大きいが、冷間時も暖間時もセルの周りが弱いというのは・・違うのか?」
「どちらにしても、今この状態では車検は通過しないことは確かだろう・・しかし、なんとかならないか。」
などと頭の中でグルグルと考えて走らせていると、前に車が割り込んでノロノロ走っている。
「どうした? 随分と遅いじゃないか・・こっちは急いでいるのだ。」と思った矢先、警察の速度計測器の横を通過!
ノロノロ走っているのは速度超過の取締りをやっていたからで、前の車のおかげで私も捕まらなかったのである。
この瞬間・・なんというか、スイッチがOFFからONに切り替わったような気がした・・ 「ついてる!」
帰宅してから、 一度頭を冷やして冷静に考えてみることにする。
速度超過で捕まったら10000円は反則金で支払う事になっただろう・・それだけでも儲けものだ!
それに加えて、私はこのバイクに絶対の信頼を置いているので、頭の片隅に「何とかなる」という思いがあった。(笑)
「大丈夫!まだいけるさ。」という気持ちが湧き上がってきた。(笑)
もう一度、車庫に戻り片隅から先月はずしたばかりのACデルコのバッテリーを引っ張り出して載せ換えてみる。
セルを回してみる・・キュンキュン・キュン・・ボン! おっ、こっちの方が勢いがありそうだ。
そこで更に以前使っていた古い充電器を出してきて、充電モードから始動モードに切り替えてみると
キュンキュンキュンとセルは勢いよく回る。
「セルモーターではない」という結論が出たことで残りは「バッテリーのチャージ不足」という事になった。
しかし、今は原因を追究しているときではない、充電器を充電モードに切り替えて充電開始。
最終の第4ラウンドの時間を調べてみると・・
書類受付 14:00-15:45 検査時間 14:30-16:00 となっており、現在は13:00であった。
頭の中で時間を逆算して計算すると、予備車検と書類受付と往路の時間で1時間少々は必要なので、
14:00がギリギリの出発時刻と結論して古い充電器に全てを任せることにした。
14:00少し前に充電器を切り離しセルを回すと・・キュン、ボッ!とエンジンが始動した。 「大丈夫、多分大丈夫・・このバイクは土壇場に強い。」 と自分に言い聞かせて出発する。
時間が惜しいので一般道ではなく、小田原厚木道路で一気に湘南車検場まで走らせて14:30頃到着。
予備車検場にて自賠責保険と光軸調整や速度計チェックを行い、車検場に戻り書類申請を済ませる。
第4ラウンド車検は既に始まっているので、1コースまで車体を走らせる為にエンジンを始動する。
この時点ではバッテリーはまだ持つようで、エンジンは問題なく始動して1コースの入り口に到着。
再びエンジンを停止させるが・・多分、もう一回か多くても二回までしかセルは回せない予感がした。 |