愛車CB750Fボルドール2の再起記録  vol 132

【フロントキャリパーの整備】(2010/09/26)

 以前よりフロントブレーキが「鳴く」「タッチがイマイチ」という状態が続いていたが、ごまかしながら走っていた。
前の週に「いつものメンテナンス(注1)」をしようとして、ブレーキピストンを握るプライヤーを使ったらシールが
ダメになってしまったので、これを期にフロントブレーキのシールを全て交換する事にした。

 せっかくシールを全て交換するなら、手持ちのスペアキャリパーに組み替えようと思い立った。
交換自体は、特に難しい事は無くサクサクと進んで、エア抜きをはじめるのだが..
さすがにホースにもキャリパーにもオイルが入ってないから、全くオイルが入っていかない。
何百回もレバーをシコシコと握った末に..やっとレバーが硬くなり出した。

 そこで、必殺のバキュームブリーダー(vol108参照)を登場させてエアを抜くのだが..変化なし。
何度かやってみたのだが、なんか..従来の方法の方がいい感じなので、レバーを握ってニップルを締める。
しかし、な〜んか今ひとつ新車時のようにカチカチにならない。
まぁ、怖いような手応えではないのだけど、納得がいかない。

前がスペアキャリパー(FB用30ミリ) 手前がスペアピストン(少しだけ良い)
二種のシール類(計8個)は当然全て交換 ブレーキのリング類も新品交換
右側交換完了 左側交換完了

 翌日、丹沢湖まで久しぶりに走らせることにした。
走り始めてすぐにわかった事は、フロントが軽くなってる事と、当然ブレーキ鳴きが全く無い事。
しかし、レバーの感触は交換前と大した変わりは無い..少しだけ良いかもって程度。
ブレーキ自体は握ると「ク〜ッ!」という感じの低い音と共に良く効くし、パットの離れもいいようである。
停まって左右のディスクの熱を確認すると、両方とも同じような温度でさほど熱くない。
ブレーキ自体の整備は間違ってないようだし効果もでているのだが、レバーの感触は以前と大差なし。

 帰宅して、もう一度ブレーキを分解してピストン周りにシリコングリスを塗布しておいた。
ブレーキスリーブも一度脱脂してから、シリコンオイルを吹いて組み付ける直した。
更に、もう一度細部から出てきたエアを抜いて、一応完了とした。

 私のブレーキの場合は「ブレーキマスター」が減っているという感じはしてこないのである。
次回はブレーキキャリパーを少し叩いてシール周りや細かい部分の気泡を追い出して、更にエア抜きをするつもり。
それと、バキュームブリーダーのホースを取り付けるのに、クリップバンドを買ってきて再挑戦しよう。
ボロくてもバキュームを使う方が絶対に有利だと思うのだが..。

久しぶりの丹沢湖 シリコングリスをシール周りに塗布
【「いつものメンテナンス(注1)」は悪整備だった!】

 さて・・それとは別に、下の工具(左)で、右画像のような整備をしては絶対にいけません。
ブレーキキャリパーというのは、非常に精度が高い物で、尚且つピストンとキャリパーのピストンホールの隙間が
極めて狭く高い精度で加工されてるので、こんな物でゴリゴリやったら、キャリパー内部が削れてしまいます。
実際、私の外したキャリパーは奥のほうに擦り傷が付いてしまいました。(泣)

 また、この悪整備をすると・・下記のようになります。

 オイルシールというのは、「抉る(こじる)」もしくは「力で回す」ような事はしてはいけ無いと言う事でした。
シールの性格上、そのシールとしての役目の方向以外に力を加える事は避けるべきです。
この部分の、このシールはピストンが前後に動く事に対してのしーるなので回してはダメなんです。
この状態から察するに、回転という、このシールとして有り得ない方向に力が加わった事でシールが伸びてしまい、
更に抉られる事で表に出てきてしまったのです..こうなると、シールとしては役に立ちません。

 このブレーキピストンを馴染ませるにはどうすればいいのか?
シールの方向性を考えると「押し出し→戻す」を繰り返す以外の力を加える事は避けた方が良いです。
オイルの圧力で押し出して、清掃してから静かに押し戻すというのが一番良いでしょう。

 考えてみればわかりますが・・ブレーキピストンというのは、微小な稼動量でしかありません。
おそらく0.5ミリ以下の稼動量だと思うので、ピストン自体を大きく押し出して整備する必要性も疑問がある。
実際には、シリコンオイルを吹いて、レバーでわずかに押し出して、少しだけ戻す・・これだけで十分でしょう。
ブレーキピストンプライヤーなる工具を用いてグリグリやるようでは、オーバーホールの時期と考えた方が良いですね。

2010/09/27

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