愛車CB750Fボルドール2の再起記録  vol 102

【秋の集中整備 Part 2】

【再整備】(2008/09/27)

パーツも揃って天候も安定しているので車体を分解してステムを外す。
まず、ステムから13日に入れたばかりのベアリングを抜く事にする。
抜けた状態によっては再利用可能ならば再利用することにする。
抜き方はステム自体を叩いて下に落とすので、このステムは二度と使えない。(この時点で使えないから同じ)
慎重に叩いてベアリングを外すと..きれいに抜けたので再利用が可能な状態である。

このベアリングを21日に準備したステムにガン、ガン、むちゃくちゃ叩きまくって叩き込む!(気持ちは・・)
というわけで..古いベアリングレースと塩ビ管を使って使って慎重に均一に入るように叩いていきます。
最後の一押しに神経を使いましたが、きれいに入り回転もスムーズです。(はぁ..これで一安心。)
次にグリスを塗りたくってヘッドに組み込みます。
今回の組み込みは前回なじませてあるのですが一応締め込みと揺すりを行って動きを確認しました。

再度分解 宙吊り
9/13の失敗ステムからベアリングを抜く。(シャフトを叩き抜く) きれいに外れたグリスベーとアンダーベアリング。
9/21にレースを抜いたステムにベアリングをセット。 きれいに入りました!
【フォークのオイル交換】(2008/09/27)

今回の整備はステム以外の整備も予定されていて、そのひとつがフォークオイルの交換である。
前回交換したのは2006年6月頃で走行距離が42000キロのころなので..7000キロほど走行した。
フォークオイルは1万キロが交換の目処なので少し早い気がするけど、まぁ良いでしょう。
今回は交換のみだけど、250ccのうち10ccほどIXLを添加する事にした。

フォークオイルは天抜きが一般的であるが、必ず下抜き(ドレン抜き)も併用する方がいい。
フォーク自体を上下させて基本的上からドボドボ抜いて..
抜き切れないものは下に落として上から息を吹き込んで、ドレンから吹き出すのである。
オイルも正規には245ccなのであるが、私は経験値から250ccを入れるようにしている。
ついでにスプリング自由長を測定したところ、左右とも565ミリと規定長内に収まっていた。

【エアバルブの交換】(2008/09/27)

フォークオイルの交換と共にエアサスのバルブを交換する事にした。
30年近く経過するとバルブが劣化して片側からエア漏れが起きるようになってしまったのである。
それにしても..このエアバルブは小さい割りに1200円/個もするのには驚いた。
カヤバ10番とIXLの混合オイル。 整備済みフォーク。
スプリング方向確認 エアバルブの交換。
【締め込みに悩む】(2008/09/27)

Fのステムは「FZ」と「FA以降」の二種類あり、私のはFBなの「FA以降」の部類に入る。
この場合..マニュアルはすばらしく分かり難く書かれている。
素直にそのまま整備すると..
「ヘッドスレッドナットを2キロで締め込み」「ロックワッシャ取付け」「トップスレッドナットを締込み」
と読めたので..私はこのとおりに締込みました。
しかし「締込み過ぎではないか?」と思えたのですが、そのまま整備を進めて前輪の取付けまででこの日は終わり。

この日の作業は終日、立ったり屈んだりを繰り返したため腰が痛くなってきたので4時頃撤収。
夜まで休んでマニュアルを見て考え直していたところ、マニュアルの表記が分かり難く実は..
「ヘッドスレッドナットを2キロで締込み、再び緩め」「ヘッドスレッドナットを手締めで締込み」
「ロックワッシャ取付け」「トップスレッドナットを手締めで締込んでロック」
というのが正しいのではないかと思うようになってきた。
しかし..これが正しいかどうか? マニュアルに書かれた文章が変なので読みきれないのである。

というのは..それ以前のK・FZではヘッドスレッドナットは全て手締めで、私もそれが正しいと思う。
2キロなどというトルクで締め込んだら操縦性は悪くなるだろうと思われる。
ましてFZ〜FCまで上下ベアリングは変更が無いわけだから、ベアリングに掛かる力は同一なはずである。

もうひとつ..ロックワッシャというものが何の役目をしているのか?
ロックワッシャをよく観察すると「反り」があり板バネになっている。
これは..締め込んでいって、絞まり切らなくても安定するようになっているという事である。
つまり、ロックワッシャは強く締める必要が無くヘッドナットとトップナットが接触していれば良いのである。
そこでロックピンを返すことでお互いの位置関係が保たれるという構造。
決して強く固定されてないけど簡単に緩む構造ではないということで..
ベアリングに掛かる締込みを保持するには十分な構造であると私は理解したのである。
もちろん、この二重ナットが緩めばガタは生じるが、上にトップブリッジが乗りナットが強トルクで締まってくる。

新品ロックワッシャーの取付。 締め込み固定・・なんか違う気がする・・不安。

復元..なんか違う気がする・・納得いかない。 復元..ほんとにいいのだろうか?変だよな〜..
【私なりの方法論】(2008/09/28)

さて..それでも締込みの結論を出さなければならない。
私は、マニュアルに囚われず、「事実」の積み重ねで、私なりのやり方で締め込むことにした。
1・RC04型ではベアリングもヘッド構造も変更されていない。
2・K/FZでは前輪設置状態で、FA以降は前輪が未装着の状態で締込みを行う。

この2点に着目し、再び組み立てたステムを分解して自分の納得いく方法で締めこむ事にした。
「前輪まで仮組みした状態でヘッド締込みは3キロで仮締めし左右に揺すり、一度緩めて手締め」
「ロックワッシャを入れてトップナットは手締めでマニュアルどおり折り返し」
「実走行をしばらく行ってガタつきが出るか違和感があれば再締込み」という方法を採ることにしたのである。
これならば間違っても締め過ぎという事はあり得ないので危険な事は無いだろう。

私の車体の場合、現在センタースタンドが無いのでレーシングスタンドで上げている。
つまり前輪を取付けて設置させれば十分な荷重をアンダーベアリングに載せる事が出来る。
後はアッパーベアリングから遊びだけを抜けば良いので..上のような取付け方法にしたのである。

私的には..FA以降の「タイヤが設置していない状態での締込み」というのは正確さに欠けると思う。
まして上下ベアリングを2キロのトルクで締め込んでしまうというのは..明らかに締めすぎだと思う。
フロントタイヤが設置して十分に荷重が掛かっている状態で締め込む(K/FZ)のが正しいと考えた。
しかし、そうするためには一度フロントを仮組みしなくてはならず厄介である。
そして、ステムだけは「マニュアルは手引き」として、より確実な方法を考えるべきである。
ステムは取り扱いや締込みが、操縦性に大きく係わってくるので「マニュアルどおり」で良いわけが無い。

それにしても..このステムという部分は、意外と整備する人が多いようである。
これも私的になるが、「特に支障が無ければ整備は避ける部分」である。
人間に当たる頚骨や肩骨の部分で非常にデリケートでわずかなミスが大きく結果として出る部分である。
締め過ぎや緩過ぎでも、面倒で再整備しない事が多いし整備も大掛かりである。
下手に整備するくらいなら「整備しない」ほうが無難である..と私は結論した。
さて..果たして、自家整備を含めショップでの整備で、どれほど正確に整備されているのだろうか。
こういう部分は「マニュアルの数値整備」よりも「熟練整備士の経験整備」が絶対に勝る部分である。
私のような素人には失敗から学び考えて、試行錯誤して最善を採るしか方法が無い。

やっぱり違う気がするので再分解締め込み。 再び新品ロックワッシャー!これ自体がバネである。

これで理屈どおり!下は締めで上は押さえだ! 11キロで締め込み!がぁ〜!
【この整備が残したもの】(2008/09/28)

無傷のステム3本とアンダーベアリングが1セット..これが今回の整備の残したものである。
もう一度ステムを分解して組み付けるに十分以上の部品がある。
そして、ダメにしたステムが2本(試験分解とレース抜き失敗)でうち一本はオリジナル。
この事からも分かるように、ステムという部分は安易に考えて整備は出来ないという事である。
ステムベアリングの交換を行ってみて作業方法で気が付いたことが何点かある。

・アンダーベアリングのアウターレース抜き
大半の方はバールで抜いているようだけど、私はプーラーで抜きました。
そのためフレーム側に傷が残らなかったのでレースを打ち込む際に苦労はしませんでした。
叩き落としは経験してないので分かりませんが、プーラーで抜く際は一度では抜けません。
あきらめず繰り返して、レースを少しこじったりすれば抜けてくれます。
それでも相当な力で入っているので苦労はしますけど、叩くよりは楽だと思います。

・アンダーベアリングのアウターレース入れ
ベアリングドライバーを使って叩き、フレームまで来たら外したレースを当てて更にに叩く。
叩いていくと音が変わり反発音になればレースは入りきった状態にある。
レースを入れるときは必ずベアリングドライバーを使い垂直に叩く。
たまに左右を交互に叩く人がいるが、レースが変形するのでやめたほうが良い。

・アンダーベアリングのインナーレース抜き
まずシャフトだけで支えられる台を準備してあげます。
シャフトだけを支えるようにして、アンダーブラケットは浮かせます。
シャフト上先端とアンダーブラケットでの三点置きにする事はどんな場合でも絶対に避けます。
もし..三点置き状態でシャフトに力を加えるか打撃を加えれば、そのシャフトは二度と使えません。

先にローラーベアリングを外して(壊して)からハンドグラインダーで削ります。
グラインダーの砥石は厚めの物を使ってシャフトと水平にレースの奥の厚い部分から削ります。
一度で削らずに、よく観察しながら徐々に削り、十分に薄くなったところで軽く叩くとクラックが入ります。
クラックが縦に一本きれいに入れば、あとは抉るだけで抜けてきます。

・アンダーベアリングのインナーレース入れ(ベアリングユニット入れ)
ベアリング部が外れないので、十分にシャフト側にグリスを塗って専用ドライバーで打ち込む。
私は専用ドライバーが無いので、掲示板でシンさんに教えてもらい、古いレースを乗せる打ち込む。
ドライバーの代わりは、それぞれなので特に指定するものは無いが、私は塩ビ管を使った。
塩ビ管を使う場合はホームセンターで切り口を水平にして何本か作ってもらうと確実である。
叩く部分が曲っていると打ち込む際に失敗するだろう。
叩き入れるのは慎重に行い、先のグリースベースが回転しなくなる程度まで打ち込めば良いだろう。
ムチャクチャ打ち込んでも問題は無いけど、アンダーブラケットに無駄な負担は掛けたくない。

ベアリング交換の作業過程でステムは「仮締め」するし、乗っていれば徐々に落ち着いてくる。
その過程で締めが必要なら締めれば良い事で、一度で完璧を狙わずに対処的に考える方が賢明である。
何日/何ヶ月/何年乗ってこのベアリングが馴染むのか分からないけど、そのとき必要なら対処する。

・ステムの締め込み
これについては先記してあるが、私的には「フロント接地させて手締め」というFZの方法を採った。
FZ以降の方法はフロントの仮組みは不要だけど「分かり辛い=トラブル」と思っている。
実際に近い状態(荷重が載った)で組む方が、より的確に組み込む事ができると考えた。

・ロックワッシャーのこと
「このロックワッシャーというのはなんだろう?」 と考えたきたとき..
「トップブリッヂの強い締め込みをベアリングに伝えないための工夫」と悪い頭で考え抜いた。
そうでなければ、このワッシャーとトップスレッドナットの存在理由が無くなってしまうのだ。
ステム上部で一番の主役はベアリングとそれを適正に押さえるヘッドスレッドナットの二つの部品。
ヘッドスレッドナットは手締で強く締めてはいけない..しかし緩んでもいけない。
更に上からトップブリッヂによって強く押さえ込まれると少なからず影響を受ける。
それを解決するのが「受けのトップスレッドナット」と「緩み止めのロックワッシャー」である。
つまり、この部品配置によってトップブリッヂに掛かる力はベアリングには影響しないのだ。
そのため、トップスレッドナットはロックワッシャを締め付ける必要は無く、締め付けてはならない。
まさに素晴らしいパーツであるが..果たして正しく用いられている方はどれほどいるのか?
ロックワッシャーが潰れて、トップスレッドナットとトップスレッドナットが完全に接触すれば、
わざわざナットを二段にしてロックワッシャーを挟む必要は無い..それを考えるべきだ。

・締め込みの順位
ステム締込みについてはマニュアルでは締め込み順位について触れていない。
しかし、ステムの構造を理解すれば締め込み順位は自ずと決まる。
私の場合はフロントを取り付けた状態から締め込みを行う(FZ式)ので順位は重要で、だから正確といえる。
フォークやタイヤは仮組みされているので、アンダーブラケットとフォークは絞まっている状態から始める。
1・トップブリッヂを入れる(完全フリー状態)
2・ステムナット締込み。
3・ステムクランプ締込み。
4・フォーククランプ締込み。
という順位で締めていかなければ完全に閉まりきらず、且つトップブリッヂに変形を起こす。」

私はこのステムベアリングの交換という作業を失敗したことで、より多くの事を学んだ。
所詮は素人であるが、ステムという部分がどうなっているのか少しだけ分かった気がする。

2008/10/07

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