愛車CB750Fボルドール2の再起記録  vol 101

【秋の集中整備 Part 1】

【ステムベアリング】(計画)

春にステムベアリングを購入したのだが特に不具合が無かった事と作業が面倒なので交換を見送っていた。
先に書いておくが、私はこのステムベアリングの交換作業にかなり不安を覚えていた。
交換した方が「簡単です」と言っているのだが..私にはかなり神経を使う作業に思えて仕方が無かった。
特に二点、大きな疑問点があり..両方ともアンダー側のベアリング周辺の問題であり、

(1)「フレーム側に残ったアッパーレースはどうすれば、確実にきれいに抜けるのか?」
(2)「アンダーブラケットに残るレースはどうやって叩かずに抜けるのか? その周りの構造はどうなってるのか?」

という二点で(1)は「少し叩けば、後はベアリングプーラーで引き抜けるだろう」と考えた。
さて(2)の方は謎なので、先に練習台としてヤフオクでステムを一本購入して分解してみた。

CB750Fのステムは「アンダーブラケット」に「ステムシャフト」を圧入してボルトで締めてある。
そのステムシャフトに対してアンダーベアリングレースが更に圧入されているのである。
正しく取るにはベアリングセパレーターなどの専用工具を用いるしかないだろう。
しかし..だれも工具はないので多くの方の方法は二通りある。

(A)「ベアリングレースとアンダーブラケットの間のグリスシールを引きちぎり隙間にタガネを入れて叩く。」
(B)「ベアリングレース自体をグラインダーで削り弱らせて叩き割る。」

どちらも已む得ない方法であるが(A)では、シャフトの材質から察するに確実に変形を起こすだろう。
残る(B)でもギリギリまで薄く削ってから叩かないと効果は無く、叩く回数が多ければ(A)と同じである。
なぜ、こう思ったかというと..
「ベアリングレースが叩きにくい場所であり、シャフトの支えにも神経を使って叩かないといけない事。」
「シャフトが柔らかい鋼材であるため、叩く回数が増えると変形が生じる可能性が高い事。」
なんでこんなに神経を使うのか? ..それは最も操縦性に影響を与える場所であるためである。
考えてみれば、ベアリングレースに付いた打痕だけで操縦性が悪化するので、ベアリングを交換するのである。
そんな微妙な部分を叩きまくったりすれば必ず操縦性に影響が出ると考えるのが当然である。

【交換してみる】(2008/09/13)

やっと重い腰を上げてステムベアリング交換作業をすることにした。
交換するには前輪を含めてバイクの前部の部品をすべて外さなければならないのでかなり面倒である。
このハンドルやヘッドライトブレーキ、そしてタイヤやフォークを外す作業で2時間は掛かってしまう。
ようやくステムを外したときは昼になってしまっていた。

作業開始

分解中

吊り上げ

ステム取り外し

【ヘッド側ベアリングレース】

先にステアリングヘッドに圧入されているアッパーベアリングのレースを抜く事にした。
これは簡単でプーラーを用いてきれいに抜けてくれた。
次にアンダーであるが、ここは少し叩かなければならないと思ったのだが、引っ掛けてこじると少し動いた。
そこにプーラーを掛けて何度か引っ掛けてくると、なんとか引き抜く事が出来たので何度かプーラーで引っ張る。
するとアッパー同様に噛んできれいに引き抜けてきた。
新しいレースはベアリングドライバーと古いレースを用いて叩けばきれいに入れる事が出来る。

ヘッド側レース部(打痕多数)

ヘッド側レース抜き

アンダー側レース(こちらも打痕多数) アンダー側レース抜き
【シャフト側のベアリングレース】

最も神経を使うのがここで、ハッキリ言って「よほど自信が無ければやらない方がいい」と言える。
私は(B)の方法でシャフトのベアリングベースを削っていったのであるが..失敗した。
正直..この時点で私は「削りを甘く見ていた」のである。
普通のカット用のグラインダーの歯で削ったためシャフトまで削ってしまったのである。
ベアリングレースは割れて外れたが、シャフトが削れてしまったら失敗である。

【アンダーブラケットを学ぶ】

唯一のシャフトに傷をつけてしまった事で私はどうすれば良いのか冷静さを欠いたと思う。
先に練習台で分解したシャフトとシャフトを交換すれば復活すると思いアンダーブラケットからシャフトを
叩き抜きシャフトの交換を始めたのである。(完全に冷静さを欠いている)
このシャフト自体が圧入されているので、相当叩かなければ外れないし、それだけ叩けばダメージも与える。
なんとか抜いて、練習台のシャフトを入れようとしたが..上手く入らない。
あまり無理に入れようとすれば変形させてしまうと思い、仕方なく元のシャフトを再圧入(叩き入れ)する。
何とか入れる事が出来たが、すでに精度が出ているとは思えないほど裏側が潰れてしまった。
このとき私は「このシャフトは肉厚だが軟鋼なんだ・・」と思い知ったのである。

それでも、この時点ではほかに使えるものは無いので、このアンダーブラケットに新品のレースを入れた。
ベアリングレースを入れるのは外したレースを逆さにして、それを塩ビ管で支えてハンマーで叩いていった。
塩ビ管を入れて叩くというのは我ながら妙案で期待通りに働いてくれたが..それどころではなかった。
明日から雨になるので、なんとか車体を戻さなくてはならなかったのである。(屋根なし作業場は悲しい)
夕方..なんとか外した部品を組み立てて車庫に入れる事は出来たけど走ることは出来ない。
尤も、傷の入ったステムシャフトなので話にもならないのである。

手元に残った(車体も含めて)のは「練習代のバラバラステム」と「傷のある分解したステム」に二種類のみ。
CB750Fのステムというのは「圧入+ネジ止めの絶対に分解してはならない華奢なステム」である。
オークションとかで分解したものが売っているが話しにならない。
どうやれば正しく(アンダーブラケットに対して垂直に)圧入(打ち込み)をすることが出来るのか?
このCB750Fのステムは工場出荷時以外では分解してはならず、外したときは神経を使う部品である。
この作業は私に「ステムベアリング交換の難しさと部品の特徴」を教えてくれた貴重な作業であった。

大失敗!ステムを削ってしまった・・! それでも、取り付けるしかなかった・・泣き。

復元中(明日は雨が降る) 復元中(夕方が迫ってきてる)
【授業料は高くつく】(2008/09/16〜21)

そこで..オークションで中古ステムを購入することにした。
こういう失敗した作業になった場合はケチっては更に傷を深めるだけである。
私は作業用に良さそうな中古ステムを1本と予備に1本、更に最悪を考え、ベアリング交換せずに装着するように
入れ替えだけのステムを2本..つまり合計で4本の中古ステムをオークションで購入した。
(ちょうど、この時はオークションで良好なステムがたくさん出品されていたのがせめてもの救いだった。)
バカな話だが、元々車体に付いているステムと以前分解用に買ったステムを合わせると..なんと6本もある。
多くのステムを見て考えてわかった事..ステムはデリケートな部品だという事である。

中古である以上ステムが曲っている事も考えて何本もステムを買っておいた。
ステムのチェックはステムシャフトに三角定規を当てて回してみればおおむね分かるし、二本あるならば
シャフト同士を合わせて回転させれば一目瞭然である。
もちろん、アンダーブラケットとトップブリッヂを取り付けてフォークを左右入れれば、はっきりわかる。

さて、この4本の中で最も状態のいいものを選んでアンダーベアリングレースを削り抜く事にした。
今回は慎重に削り込んで最後に軽く叩くと音も無くクラックが入ってレースが抜けた。
もちろん、シャフトに傷ひとつ入っていない。(これが失敗しても、まだ3本もあると思うと気分的に余裕..笑)

【部品が来ない・・】(2008/09/17〜25)

9月13日の失敗で不足のパーツを注文するついでに「思い切って細かい部分も・・」と部品を注文した。
地元のレッドバロンなのでホンダのパーツなら2〜3日で着くのだが待てど来ない。
どうやら他のパーツと混ざってしまったようで、結局揃ったのは9月25日であった。

【ライトブラケットの塗装】

これは付属整備でライトブラケットが錆びたり傷があったので塗装しておいた。

【左コンビネーションの補修】

左のコンビネーションスイッチの端にクラックが入っているので、外してエポキシ接着剤を充填しておいた。

中古ステムを購入し慎重にレースを削る。 4本のステムでリベンジ!(一番左を採用してレースを抜いた。)
ライトブラケットを塗装。 左コンビネーションスイッチを補修

2008/10/07

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